スタインウェイ・常に最高峰であり続けるピアノ

スタインウェイ、ホールで演奏するためのピアノ

2018年05月16日 14時30分

スタインウェイ&サンズのピアノは、ほとんどの音楽ホールに設置されています。世界最高峰のピアノとも呼ばれます。これだけスタインウェイのピアノが音楽ホールに普及しているのにはわけがあります。スタインウェイのピアノが、弾き手にとって扱いやすいことが一番の理由です。「アクション」は、その典型的な部分でしょう。
 
「アクション」により、ピアニストは繊細なタッチにより表現することが可能です。たとえばヤマハのピアノを同じ弾き方で弾いたとしても、同じ演奏になることはありません。音が飛んでしまうことすらあるはずです。
 
タッチが軽いからといって、それが弾きやすさにつながるということはありません。鍵盤の操作により出てくる音が、演奏者の意思と違わない。これが弾きやすさではないでしょうか。
 
ベーゼンドルファーやベヒシュタインと言った世界のピアノは、それぞれが音色に特長を持っています。ただ、その特長がすべての音楽にマッチしているわけではなく、向き不向きがあります。
 
その点、スタインウェイのピアノは、どんな音でも出すことができます。スタインウェイが元々持っているクリアで金属的な響き。スタインウェイは弾き方やペダル操作で繊細な音を表現することができますが、他のピアノでは個性が邪魔をしてしまう場合が多いのです。オールラウンドな表現力があるからこそ、多くのホールに常備されているのです。
 
スタインウェイのピアノは、18世紀終わりに登場したピアノが持っていた弱点を克服したものです。現在はホールなどの大きな空間で響く楽器として当たり前の存在となっているピアノですが、この頃のピアノは、室内のような場所で演奏する、パワーのあまりない、響かない楽器だったのです。
 
19世紀に入ると、演奏が行われる舞台がホールへと移り始めます。そのため、その頃のピアノが抱えていた問題を、何とかして克服する必要があったのです。
 
おそらくスタインウェイ&サンズの哲学でもある、「ピアノ全体で音を出す」という発想は、この問題を克服するためのアイデアだったのではないでしょうか。リムやフレームを振動させるアイデアは、既にこの頃にはできあがっていた仕組みです。
 

Steinway Hall(スタインウェイホール)

スタインウェイ&サンズは1864年、2000人以上を収容可能なコンサートホール「スタインウェイホール」をニューヨークの14th Streetに建設しました。定期的なライブ演奏を通じて音楽文化の向上やプロモーションを目的としたこのホールには、100台以上のスタインウェイピアノが展示されるショールームもありました。ホールとショールームの他に、ピアノレッスン用のスペースもあったそうです。
 
スタインウェイホールは1866年から、カーネギーホールができる1891年までの25年間、ニューヨーク・フィルハーモニックの本拠地でもありました。
 
1872年にはロシア出身のピアニスト、アントン・ルビンシテインのコンサートが開催されました。このコンサートは、239日間に215回公演を行うというハードなものでしたが、多くの観客を集めました。その盛り上がりは「土曜日の公演を訪れた観客が、月曜日にはピアノを買う」ほどだったと言われています。他のピアノメーカーも、このマーケティングアイデアに追随し、ボストンやシカゴ、ボルチモアやフィラデルフィアにもコンサートホールが誕生することになります。
 
ニューヨークにおける芸術の中心地としての役割を果たした初代スタインウェイホールは1925年に57th Streetへと移転します。
 
この移転にはビジネス的な判断が多分にあったようです。新しいスタインウェイホールの近くにはカーネギーホールがありました。スタインウェイ&サンズのピアノは、スタインウェイホールとカーネギーホールの両方で使用されました。新しいスタインウェイホールには、クラシックを流すラジオスタジオや、当時の最新機器がそろったレコーディングスタジオが設置されました。ニューヨーク・フィルハーモニックが行ったオープニングコンサートは、政治家など多くのVIPが招待され、その模様はラジオで生中継されたそうです。
 
57th Streetのスタインウェイホールは2001年、アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。ドーム建築の高い天井、大理石や有名作曲家達の肖像画が飾られるインテリア、そして発明家トーマス・エジソンからの手紙など…多くの歴史がつまった建物では、現在もスタインウェイ&サンズのセールス部門やサービス部門があります。
 
スタインウェイ&サンズ・ピアノのベーシックを作ったメーカー
スタインウェイ&サンズは、世界三大ピアノメーカーに数えられ、そのピアノは多くのコンサートホールで使用されています。
 
スタインウェイのクリアで金属的なサウンドは、ピアノ全体を使って音を響かせることから生まれます。また、繊細なタッチを実現するアクションやペダル操作は、弾き手が意のままに演奏を操るために欠かせません。
 
スタインウェイはこれだけの能力を持つピアノを約150年前には大方完成させていました。日本のピアノメーカー、そして海外のメーカーも個性的なすばらしいピアノを世に送り出していますが、スタインウェイのような弾き手のために考えられたピアノは、数少ないのではないでしょうか。